思ったとおりマクブライドはかなりしょぼい選手だった。アレだけ距離が長いのに反応は鈍いし、パンチも当てるの下手だしで。でもそれ以上にタイソンが悪すぎた。ダッキングからの左フックは全然でないし右オーバーハンドは踏み込みが浅すぎるせいか、体が開くのが早くなって決定的に威力を欠いていたように見える。

僕は、タイソンはおそらく練習中からずっと調子は良くなかったのだろうなと想像する。だって入場してくるときからずっと自信のなさそうな顔してたもん(結果論かもだけど)。膝も治りきった様子はなかった。というよりかばって打ち込む癖がついてしまっただけかもしれないけど、そうだとするなら尚更致命傷だろう。試合後のタイソンは目が充血していて泣いているように見えた。多分泣いていたと思う。思うように動いてくれない体に、モチベーションの上がらない自分自身に歯がゆい思いをしてたんじゃなかろうか。インタビューでは以前のコミュニケーション不能のキチガイ言語を発すこともなく冷静に勝者を称え、「もう無理なんだ、もうリングで戦いつづけるハートがないのかもしれない」ともらしていた。

どこかもう戦わなくてもいいのだという安堵に満ち溢れていたように思える。こういうインタビューを見てしまうとタイソンは元来、本当に優しい心の持ち主だったのだろうなということが分かる。本当に柔和な顔立ちで、ただもう戦うのがつらいという、そういった哀愁だけが漂っていた。相手を殴るのもつらいし、殴られるのもつらいのだろう。現在は自分を心配してくれる友人がたくさんいるから、もう自分は一人じゃないから、きっとこれからも上手くやっていけるとタイソンは言った。彼のこれからの人生が悲しみに満ちた人間不信の物語でないことを祈りたい。今の優しいタイソンならきっと上手くやれるはずだよな。

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